Pearl Horizon Coveのレストラン「汐音」では、メニューを先に決めません。料理長の田中が毎朝港に行き、その日の競りで何が上がったかを見てから、その日の料理が決まります。この仕入れ方は、効率が悪いように見えて、実は食材の質を保つための唯一の方法だと田中は言います。
競りに通う理由 ¶
石垣島の漁港では、毎朝5時頃から競りが始まります。田中は週に5〜6日、この競りに参加します。競りに行くと、その日の海の状態がわかります。台風の後は特定の魚が増える。潮の流れが変わると、上がってくる魚の種類が変わる。港に行かないと、この変化は見えません。仲卸を通じて仕入れると、鮮度は1日落ちます。田中にとって、それは許容できない差です。
石垣島の魚、季節ごとの変化 ¶
冬はグルクン(タカサゴ)が多く上がります。田中が「一番好きな魚」と言う魚で、塩焼きにすると皮がパリッとして、身がほろりとほぐれます。春から夏にかけてはマグロの若魚やカツオが増えます。夏の終わりから秋にかけては、イカの質が上がります。同じ「石垣島の魚」でも、季節によって全く別の食卓になります。
農家との関係 ¶
魚だけでなく、野菜も地元から仕入れています。近隣の山田農園とは開業当初からの付き合いです。農薬不使用で育てたゴーヤ、パパイヤ、島野菜が毎朝届きます。田中は週に一度、農園に足を運びます。「畑の状態を見ると、今週何が美味しいかわかる」と言います。この関係は、単なる取引ではなく、食材の背景を知るための習慣です。
メニューを決めない、ということ ¶
「汐音」のコースは全8品ですが、内容は毎日変わります。ゲストに事前にメニューをお伝えすることができません。これは不便に感じる方もいるかもしれません。ただ、この方針を続けているのは、食材の質を優先した結果です。前日に決めたメニューに合わせて食材を選ぶのではなく、今日の食材に合わせて料理を決める。その順番を逆にしないことが、「汐音」の料理の出発点です。
「汐音」のご予約はフロントまで。夏の週末は1ヶ月前から埋まり始めます。宿泊ゲスト以外の方も予約可能です。